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アフターコロナで変化したワーク・ライフスタイル:VUCA時代のギグワーク

IoTやAIなどの著しい技術の進歩などによって、現代は将来予測が立ちにくい時代を迎えています。近年のキーワードとして、変化が激しく不確実な状況のことをVUCAという用語で言い表すようになりました。

(Volatility:変動性)
(Uncertainty:不確実性)
(Complexity:複雑性)
(Ambiguity:曖昧性)

VUCAは1990年代の軍事造語ですが、現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況を表すキーワードとしても用いられます。

2020年、VUCAの時代を象徴する最も大きな社会変化といえば、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行による影響でしょう。新型コロナの影響を受けて人々のワーク・ライフスタイルはどのように変化しているのか。その変化の内容をふまえて、VUCAの時代におけるギグワークの位置づけを考察します。

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新型コロナは海外や日本をどう変えたのか:アフターコロナの価値観とは

新型コロナの影響で人々を取り巻く世界はどのように変わったのか。日本を含む各国は、次のような傾向の施策を取りました。

  • 新型コロナの感染拡大を防ぐための国境封鎖・ロックダウン
  • 外出規制に伴うリモートワークの推進
  • 景気回復のための財政政策や失業対策

国によって内容の詳細や程度については異なりますが、ヒト・モノの流れが制限され、国の経済が停滞した点はどの国も共通しています。上記の施策の結果、国際社会および日本社会がどのように変化したのかを概観していきます。

アフターコロナの国際社会:トリプルショックによる不可逆な社会変化

新エネルギー・産業技術総合開発機構の公開した資料によると、新型コロナは次の3つのショックを与えることで各国の経済や社会運営の脆弱性を示したといいます。

需要ショック 個人消費が著しく低迷し、企業の投資活動が制限
供給ショック 店舗閉鎖などで経済活動がストップすることによって供給側の活動も停滞
金融ショック 需要・供給ショックにより信用収縮が発生

引用元:新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」

各国の政治経済はグローバリゼーションが進むことを前提に計画されていました。しかし、ヒト・モノの流通が新型コロナによって止められたことで、グローバリゼーションへの依存自体を見直すことになったのです。特にEU諸国は加盟国同士の「自由な移動を基盤とした政治経済を営んでいたため、ダメージが大きかったと言えます。

イギリスの経済学者Simon Mair氏は、アフターコロナの持続的な対策は1年以上必要と指摘した上で、大量生産大量消費という既存の消費傾向から脱却する時期に来ていることをクーリエ・ジャポンの記事にて提言しています。

アフターコロナの社会は不可逆的に大きな変化がもたらされると、多くの専門家が情勢を分析しています。もちろん日本も例外ではありません。

アフターコロナの日本社会:価値観や常識の急激な変化

新型コロナにより、日本の経済は一時的に止まり、ステイホームを強いられた人々の生活や価値観に大きな影響を与えました。

2020年4月~6月のGDP(国内総生産)は1~3月期と比べると-7.8%、年率換算では-27.8%という減り幅を見せました。このGDPの値はリーマンショックのGDP年率17.8%減よりも大きい落ち込みを示しています。

新型コロナによって発令された緊急事態宣言が解除される前での間、次のような変化が日本社会全体で起こりました。

  • 多くの企業がリモートワークを取り入れ、在宅勤務や在宅学習を経験する人が急増した
  • オンラインを活用した新しいコミュニケーションやコラボレーションのツールやシステム使用が進展した
  • 常識とされていた価値観の見直しが迫られた
    例)通勤、出張・転勤、ハンコ、名刺、現金
  • 新しい生活様式や従来にないビジネス、新しい価値観が生まれるようになった
    例)コミュニケーションがオンライン化する一方で、ライブ感に価値が生まれる

この機会に社内体制を大きく変えた大企業も多数存在しています。代表例としては、日本No.1モーターメーカーである日本電産株式会社の人事改革があります。2020年4月1日、永守重信会長CEOは役員の大半を降格させ、より実力本位の体制に変えていく方針を打ち出しました。アフターコロナを生きぬくためには、実力あるリーダーが不可欠だという考えのもとに下された経営判断です。

アフターコロナを見据えた社会変動への対策は、経営トップだけの問題ではありません。例えば、全日本空輸株式会社(ANA)やみずほフィナンシャルグループ、キリンホールディングスなど大手企業が続々と従業員の副業に対して解禁ないしは副業の枠を拡大する決定を下さいました。IT業界大手のヤフーが2020年7月に100人の副業人材を募集するなど、新型コロナの影響を受けて、人材の動きがより流動的に変化しているのです。

コロナ禍は日本人の意識をどう変えたのか:ワーク・ライフスタイルの変化

数々の変化が生じた日本社会の中で、アフターコロナの新しい価値観を人々はどのように感じているのでしょうか。モノ・コトを消費する消費者としてのライフスタイルの面とモノ・コトを生み出す労働者としてのワークスタイルの面、双方のデータをもとに日本人の意識の変化について解説します。

消費者としてのライフスタイル:家族や繋がりを仕事より重んじる傾向

アフターコロナの意識変化として、人々のワークライフバランスが家族などプライベートの面に比重が傾いたことが挙げられます。内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、以下の結果が示されています。

【新型コロナ拡大前と比べた家族の重要性に対する意識変化について】
家族の重要性をより意識 49.9%

【新型コロナ拡大前と比べた社会とのつながりに対する意識変化について】
社会とのつながりの重要性をより意識 39.3%

【新型コロナ拡大前と比べた仕事に対する意識変化について】
仕事の重要性をより意識 21.9% < 仕事以外の重要性をより意識 31.5%

【新型コロナ拡大前と比べた仕事への向き合い方の変化】
仕事との向き合い方に変化があった 57% → 生活を重視するように変化 50%

引用元:「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(内閣府)

また、楽天インサイトの人生価値観に対する調査によると新型コロナウイルス拡大以前(2019年12月)と2020年7月の結果を比較したところ、次のような結果が出されました。

『家庭重視』の価値観を持つと判別された層が1.4ポイント増加
『欲求充足重視』の価値観を持つと判別された層が2.0ポイント減少

結果として、アフターコロナの日本人は仕事よりも家族や社会との繋がりに価値を置いて様々な決断を下す傾向にあると言えます。

労働者としてのワークスタイル:生活を重視できるギグワーカーの可能性

変動の激しい社会に対する危機感や家族の時間を大事にしたいという価値観の変化によって、注目されだしたのがパラレルワークや副業といった働き方です。本業以外にも収入源を持っておきたい、時間の自由が効く働き方を将来的に選びたいといった希望を叶えるために、新型コロナのタイミングで行動を起こした人達が一定数います。

新型コロナの影響について調査した内閣府のデータによると、副業については以下のデータが示されています。

【新型コロナの拡大前に比べて職業選択・副業の希望の変化】
まだ具体的ではないが将来の仕事や 収⼊について考えるようになった 29%
新たに副業を検討しはじめた 9% 
副業を持った 2%

副業に向けて具体的な行動を起こした人は計11%ですが、キャリアへの意識が変化した層も含めると新型コロナをきっかけに副業へと意識が向いた人は40%に上ります。

また、株式会社OKANの「withコロナで変化する『働くこと』に関する調査」によると、コロナ禍における従業員の意識については次の結果が出ています。

【コロナ禍における企業と従業員の関係性について】
「会社と良い関係を築けていない」 全体の半数を超える 最多は40代
年代が高いほど会社への期待が低下している傾向 20代と比較し30代は-6.4ptと減少
会社に愛着湧く理由 1位「特になし」 31.3%で「人間関係」を6.9pt上回る

この結果からは、企業でキャリアを積んだ30代が一つの会社にとどまらず、他で活躍の場を探したいという潜在的な欲求を抱えているのが見て取れます。転職という選択肢もありますが、ライフワークバランスで家族などプライベートを重視する志向を鑑みると、より自由度の高い働き方を選ぶ可能性が高いでしょう。例えばプロ人材のように専門的なキャリアや実績を買われて他社のプロジェクトに単発で参加する働き方がより一般的になる可能性があります。

単発の案件のみをインターネット上で請け負う働き方をギグワーカーと言います。ウーバーイーツのドライバーからプロ人材までギグワーカーの働き方は様々ですが、次のキャリア選択としてギグワーカーを検討する人はこれから増えていくと考えられます。

まとめ:VUCAの時代の価値観に合った自由な働き方がより一般的な選択肢になる可能性

新型コロナの影響に代表されるVUCAの時代、人々のワーク・ライフスタイルはどのように変化するのか、まとめると次のようになります。

  • アフターコロナの変化は不可逆であり、世界的にこれまでの常識が通用しない新しい価値観が生まれ始めている
  • 大企業の体制も変化する中で、国民の意識は仕事よりも家族やプライベートを重視する傾向が強まっている
  • 副業に興味を持つ人の層が増えており、1社でキャリアを継続していくことが一般的ではなくなりつつある

キャリアを活かしつつ、自分と家族の時間を確保するための方法として、ギグワーカーという選択肢がこれからより認知されていく可能性があります。副業として選ぶ人もいれば、いずれは独立してプロ人材として活躍できる本業ギグワーカーを目指す人もいるでしょう。選択肢が増える分キャリアに迷う場合は、自分の望むライフ・ワークスタイルをきちんと見直ししてみることをおすすめします。

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